2007年4月 5日 (木)

押井守 雷轟rolling thunder PAX JAPONICA

4757726694雷轟rolling thunder PAX JAPONICA
押井守
エンターブレイン 2006-03-31

by G-Tools

あー、押井守だぁー

という感想。

南北戦争でアメリカが二つに分裂し大国になれず、太平洋の覇権を日本が握っているという設定で、その日本がベトナム戦争をやってる話。
覇権を握ったと言っても押井なので、キリリと引き締まったカッコイイ日本なんかは出てこず、むしろそんな素敵日本国は影も形もなく、敵国が赤十字のマークをつけた電気化学プラントから上空を通過する敵機を全力で落とそうとするなど「ちゃんと戦争している」にも関わらず、日本は「二階の窓からしょんべんをするような爆撃」を繰り返すだけの駄目国家なのだ。
んで、レシプロ双発戦闘爆撃機に乗ってる主人公が戦争についてそうめんを食いながらグダグダグダグダ呟きまくるといういつもの押井の感じ。
本編は三分の二くらいで残りの三分の一くらいは解説だ。この解説は押井ファンじゃないとあんまり面白くないだろうなと思う。

以下ちょっとだけネタバレ感想。

国家が兵に正義を用意しないので、自分たち兵は自前の戦争をやる、というその気持ち、衝動というか、そういうものは分かる気がする。
自分たちは命を懸けているのにも関わらず、ちゃんとした戦争、真面目な戦争ができないというのは我慢できないであろうなと。というか馬鹿馬鹿しくてやってらんないだろう。
主張があるから実力行使が必然化され、実力を行使することで主張はより強化される。その主張こそが正義だ。というのも分かる。私は正義という言葉自体に拒絶感があるけれど、ここで語られる正義はなかなか面白いなと思った。賠償かぁ。考えたこともなかったな。

本編のクライマックスであるアレだが、私はその時風呂で半身浴をし水を飲みながら「どうなるのだろう」とドキドキしつつ本書を読んでいたのだが、アレが出てきた時、全く予想していなかったので飲んでいた水を噴出しそうになった。面白くて。
押井のこういうところ、好きだなぁ。

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2007年3月 9日 (金)

京極夏彦 陰摩羅鬼の瑕

4062754991 文庫版 陰摩羅鬼の瑕
京極 夏彦
講談社  2006-09-16

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面白くなるまでに時間がかかった。
特に序盤の関口視点が辛かった。あと伊庭さんの年齢がよく分からなかった。今回は儒教の話だったが、テッソの禅と違って儒教には全く興味を示せなかった。
だが読み終えた時、京極堂シリーズの中で好きな方だなと思った。

但しこれは推理小説ではないので、犯人や動機を当てようとして読みたい人は注意すべし。

以下ネタバレ感想。

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2007年1月31日 (水)

京極夏彦 今昔続百鬼 雲 〈多々良先生行状記〉

文庫版 今昔続百鬼 雲 〈多々良先生行状記〉
文庫版 今昔続百鬼 雲 〈多々良先生行状記〉

面白かったぁああぁあッ!!
いやはやこれは本当に面白かった。京極堂シリーズよりさらに民俗学よりで、まぁ本人達はただの妖怪馬鹿と伝説馬鹿なのだがフィールドワークに行ってはヘンテコな事件に巻き込まれては暴走するという、そんな話。
ぬ。
事件に巻き込まれては暴走するだけなので、別にミステリーといった感じではないのだが、これが面白い。
まず、二人のフィールドワークの最中の描写がとても面白い。貧乏旅行で、小さなことで(いや沼上さんの気持ちは分かる。多々良センセーはメチャクチャだ!)喧嘩をして、でも妖怪と伝説のことになると雪の中だろうが嵐の中だろうが突き進んでて、非常に生き生きとしているのだ。京極夏彦が実際にこの時代にこんなフィールドワークを行ったんじゃないかと思うくらい生き生きとしている。それでいつの間にか事件は解決。ぬ。
多々良センセーがむかつくんだけどとても愛着がわく。実際にこんな人が近くにいたらそれはブチ切れだけど、とても良いキャラクターで私はこの人大好きだ。絵解きに夢中な多々良センセーが面白くてしょうがない。その子供っぷりが!

楽しく可笑しくライトな小説だったけど、好きな人にはたまらないと思う。私なんぞは在野の研究者がフィールドワークにでかけてドタバタしているというそれだけで楽しくてしょうがなかった。

以下ネタバレ感想

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2007年1月10日 (水)

京極夏彦 百器徒然袋―雨

榎木津が沢山でてきてなんといかこう、てんやわんやの大騒ぎをしながらワイワイがやがやと物語が進んで行く本だった。超ライトなノリ。
榎木津好きな人にはたまらないだろうけど、漫画っぽいのが苦手な人は少し厳しいかもしれない。私個人はギリギリのラインだった。まぁ、たまにはこんなんも良いか、とも思ったけど。だって榎木津だし。
あと、京極堂のイメージがちょっと変わったな。

文庫版 百器徒然袋―雨
文庫版 百器徒然袋―雨

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2006年12月20日 (水)

京極夏彦 百鬼夜行 陰

読み終えた。大変……怖かった!!
これは宴まで読んでいないと面白味が半減どころが意味がないようだから、宴まで読んだ人への息抜きサイドストーリーだろう。とか最初は思ったんだけど、息抜きじゃないね。息抜きどころか鳥肌立ちまくりだったもん。
今までのシリーズは憑き物落としを中心とした基本的には論理的な話だったが、今回は逆。妖怪に取り憑かれるその経緯が怪談のようにネチネチと書かれている。憑かれる側だから論理的なはずがない。今までのように頭で考えて読む話ではなく、肌で感じる話であった。
京極夏彦はこういうのも物凄く上手いなぁと思った。憑かれる時はこんなんなんだろうなぁ。

目目連、毛倡妓が特に怖かった。毛娼妓はマジで怖かった。あと、関口をブン殴りたくなった。雪ちゃんに何を言うかこの馬鹿者ー!
今までの京極堂シリーズと違ってキャラクター小説じゃないので、そういうのを期待して読むと肩透かしを食らうかも。
私は面白かった。ていうか怖かったよ。

百鬼夜行 陰
百鬼夜行 陰

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2006年12月 8日 (金)

塗仏の宴―宴の始末

文庫版 塗仏の宴―宴の始末
文庫版 塗仏の宴―宴の始末

面白かったのですが、なんだか微妙でもありました。
大風呂敷を目一杯力一杯一杯一杯広げて、どうすんだろと思っていましたが、ラストでダダダっと畳みましたね。強引でしたけど。
物語に宴がつくだけあって登場人物はやけに多いわ全体的にえらくアクティブだわで、宴が最高潮になると燃える展開でしたが、今回は特に漫画っぽくもありました。この辺が自分は微妙だった点だな。まぁ良いや何でも。

以下ネタバレ感想

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2006年12月 5日 (火)

塗仏の宴―宴の支度

読み終えました。
様々な妖怪についての薀蓄がなかなか凄かったです。
何故か知らんのだけど「しょうけら」の章の薀蓄だけやけにイライラしましたが、後は楽しく読めました。宴の始末が楽しみです。

以下感想。

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2006年10月12日 (木)

押井守 注文の多い傭兵たち

注文の多い傭兵たち
注文の多い傭兵たち

読み終えた。押井守がゲームについてグダグダと語ったもの。
私は押井が好きなので、ゲームの動機云々等をネチネチと小難しく語られても一向に構わないしそもそも理解できないんだが、押井ファン以外の人が読んだら「よくこれに1600円出せるね」という一言に尽きるだろうと思う。
それでもゲームが好きな人ならそれなりに笑えるところもあるだろうとは思う。私も何箇所か随分とニヤニヤしたりクケケと笑ったりした。

中盤から押井が企画したゲームについて書いてあったりするんだけど、これがなかなか面白い。アホ企画もあるけれど(というかほとんどがアホ企画)、自分以外は全てが敵という「蠱毒の迷宮」というタイトルの企画なんかは相当にそそられた。これ、どっかのメーカーさん作ってくれないかな。パーティーを組んでもいずれ仲間を殺さなくてはならないという極めてシビアなゲームなので、作ったとしても大ヒットはしないだろうけど。
最後のパトレイバー企画には個人的にあまりそそられなかった。

この本は、押井はゲームの作り手が作った「ユーザーが進む道筋」を歩くのを嫌がって、常に変な横道に逸れてゲームをしていた。ということがよく分かる本なんだけど、押井は本当にゲームが好きなんだな、ということがよく分かる。最後に書かれるコレとか。

ゲームがないと困るんだって人間は、たぶん日本中で数千人しかいない。でもメーカー側は、何百万人とか何千万人を目指したんだよね。そこで、ゲームと関係ない人間も引っ張り込んだんだよ、僕から言わせると。ゲームと関係ない人間っていうのは、遊びやすくて、派手で、って望むでしょう。でも、ゲームと関係ある人間は、たちが悪いくらいに、ゲームでさえあればいいんだよ。手も足もでないところからやって、工夫してどうやって進めるのかっていうのが喜びなんだ。

押井守 注文の多い傭兵たち より引用

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2006年9月28日 (木)

京極夏彦 絡新婦の理

文庫版 絡新婦の理
文庫版 絡新婦の理

まぁまぁ面白かった。
しかし読み手に読解力と集中力を要求してくる作品なのでかなり疲れた。
ラスト付近で一気に畳み掛けてくるし、読後に情報の整理が必要(「はぁ終わった終わった」という作品の作り方をしていない)ので、時間のある時にじっくりと読んだ方が良い。
テーマは女。

以下ネタバレ感想

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2006年9月 6日 (水)

鉄鼠の檻 京極夏彦

文庫版 鉄鼠の檻
文庫版 鉄鼠の檻

すっごく面白かった。というよりも、興味深かった。禅についての知識が皆無な私にとっては、京極の禅に関する薀蓄のひとつひとつが興味深かったし面白かった。
ただミステリとしてはどうだろ。普通、かも。
アマゾン見ても評価が割れてるので、「そういう作品」だと思う。ただ個人的にはとにかく面白かった。

以下ネタバレ

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